研究内容紹介

脳型計算機のプロトタイプ実現

 実世界に対応しうる脳型計算機の工学的実現のためには、関係するプロセス技術、デバイス技術、回路技術、並びに計算機アーキテクチャの開発が必要不可欠であり、本研究室では、脳型計算機を構成するために必要なナノ集積化プロセス・デバイス技術の開発を軸に、この分野において先導的な役割を果たすべく研究を進めていきます。さらに,人工神経回路の手法と、ハミルトニアンの断熱的変化を組み合わせた量子計算アルゴリズムにより、脳型計算と量子計算の両者を包含する新しい計算原理を提案しています。

原子層制御プラズマCVDプロセス

 SiH4やGeH4などの原料ガスの表面反応を、基板非加熱下の低エネルギーArプラズマ照射によって制御することにより、Si結晶基板と格子整合した高度歪GeやSiGe混晶のエピタキシャル成長や高濃度ドーピングを可能にしてきました。特に、本技術で開発された高い平坦性を有する歪緩和Ge薄膜をBドープSiエピタキシャル成長用の基板として用いることにより、キャリア移動度増大現象の観測にも成功しています。このように、ナノメートルオーダ厚さの異種薄膜の積層構造形成を制御可能な基盤技術を確立し、IV族半導体中の量子効果発現や電子物性変調を制御する研究を進め、Si集積回路を高性能化させる材料・デバイス技術の開発を目指しています。

神経回路機能の実細胞再構成

 半導体プロセスに基づくバイオエンジニアリング技術を駆使し、実験と理論の両面から、脳の機能素子である神経細胞(ニューロン)が作る回路網の機能特性を解析しています。具体的には、孤立系として扱うことができる数十~数百細胞程度の規模の神経細胞回路を対象として、自発活動、入出力特性、可塑性などの機能計測と数理モデリングを進めています。これらの研究を通じて、多細胞システムの階層における生体情報処理の学理構築と工学応用を目指します。

エッジ向けアナログ脳型ハードウェアの構築】

 MOSのアナログ特性を利用し、ニューロンの電気的な振る舞いを再現する回路を開発します。また、記憶の保持に電力を要しないスピントロニクス素子などを利用してシナプス回路を実現し、これをニューロン回路と融合することで、利用できるエネルギーが限られるエッジにおいても高度な情報処理が可能な脳型ハードウェアの構築を目指します。